久しぶりにルイズに逢えた――『ゼロ魔』21巻発売

20巻が発売されてから5年。

『ゼロの使い魔』という作品に魅了された僕たちは、ずっとこの日を待っていました。

2013年4月4日の訃報で一度は諦めかけつつも、我々は、どんなかたちでもいいから『ゼロ魔』の続きを読みたいと願ってきたのです。

――その夢が今日、実現しました。

ヤマグチ先生には感謝でいっぱいです。『ゼロの使い魔』を生み出してくれたこと、病と闘いながらも、その続きをこういうかたちで届けてくれたこと。……本当は、「ヤマグチノボルの書くゼロの使い魔」を最後まで読みたかったですけど、そして、ヤマグチ先生だって最後まで書きたかったでしょうけど、でも、嬉しいです。

今作でのルイズは相変わらず可愛くて、ちっちゃくて(どこがとは言いません)、とっても魅力的でした。基本的にデレ期なので、サイトといちゃいちゃもしています。それが可愛い。ツンデレの持つ「ツンとデレのギャップ」をほとんど失い素直になったというのにこんなにも可愛いのは、本質的にルイズが可愛いということでしょう。それでいてCV釘宮理恵。脳内再生当然。魅力カスタム。なんというチートキャラなんでしょうか!

……いや、すみません。CVとか脳内再生は小説そのものには関連性が薄かったですね。こっち(釘宮病患者)の話です。

当たり前のようにルイズの話から語り始めましたが、もちろんストーリー、そして兎塚エイジ先生のイラストにも大変楽しませていただきました。今回は、<六千年の真実>というサブタイトルのとおり、今まで明かされなかった真実、「始祖ブリミル」の秘密へと迫っていっています。アニメ版で一応完結した『ゼロ魔』ですが、それとは違った展開にわくわくします。近頃、現代ものを多く読んでいたのですが、ファンタジーのこのスケールの大きさ、やっぱり良いですね!

そして、兎塚先生のイラストがその物語に視覚的な華を添えています。詳しくはネタバレになるので書きませんが、サイトのピンチにかけつけたあの「ルイズ降臨」のシーン(と勝手に呼んでいます)、震えましたね。感動の再会に興奮がこみ上げるあまり、僕もサイトのように、ルイズを抱きしめたくて仕方なくなりました。……いや、すみません。実を言うとわりといつでもルイズには抱きつきたいです。それはそれとして、あの部分のイラストは機会があれば、カラーで見たいですね。ポスターとかにして貼っておきたいです。

とにもかくにも、まとめると「21巻面白かった」の一言になります。それはつまり、問題なく楽しめたということで、もっと噛み砕けば、「ヤマグチノボルが書いていない」ことへの違和感は、心配していたほどなかったということです。

……正直に言えば、ほんのすこしだけ、「なにか違う」という思いを抱いた箇所はありました。それはもしかすると僕の先入観によるものかもしれませんが、どことなく、なにかがちょっと違うような気はしたのです。

しかしながら、99.9%『ゼロの使い魔』だったと思います。結局、誰が書いたのかは明かされませんでしたが、「実はヤマグチ先生が生き返って書いたんだ」と言われれば、「なんだそっか、なにか違う気がするとか書いて恥ずかしいなあハハハ」と笑って信じるくらいには今までどおりの『ゼロの使い魔』だったような気がします。見事です。見事な仕事です。

でも今回、結局この発売までに『ゼロ魔』を読み返すことはできなかったので、もしかして1巻から通して読むと、違和感はあるのかもしれません。でも、仮にあったとしても、僕はこの21巻をここまでのクオリティに仕上げた方に対して文句を言うつもりはないですし、言うとしたらむしろ、「書いていただきありがとうございます」という感謝のみです。あと、するとしたらその方の著作を買います。そういう意味では著者の方、知りたいような気がしますね。次巻では明かされるのかどうか……このまま明かさずに、あくまで「著者・ヤマグチノボル」で良い気もするので、ちょっと複雑な心境ですが、それも含めて楽しみに待とうと思います。

最後に。

この21巻の発売は多くの方々が尽力なさった結果なのだと想います。関わった全ての方に、伝わる伝わらないは関係なく、この場を通じてファンとしての感謝を述べておこうと思います。まず伝わらないですけど、でも、書かずにはいられません。

冒頭で、夢が実現したと書きましたが、僕にとってこの21巻の発売は、ヤマグチ先生が亡くなってしまってからというもの、本当に夢でした。

ゼロの使い魔は僕が最初に買ったライトノベルであり、僕をツンデレ貧乳ニーソ好きにした原点であり、そして釘宮病をこじらせた根源なので、つまりそれは「今の僕」を構成した大きな要素のひとつであるということです。

僕の人生にとって欠かせない一作だからこそ、ヤマグチノボル先生が亡くなったと聞いた時はショックでしたし、ルイズたちの物語が再び動き出すと知ったときは本当に嬉しかったです。

――人生で最も大きな影響を受けた一作と言っても過言ではない作品、『ゼロの使い魔』。

今回も大いに楽しませていただきました。ありがとうございます。

そして、次巻も大いに楽しみにしています。

ふぁいん
 

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