自作小説

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迷ってへたれて抱きしめて② #10

「……というわけで、明日、琉未ちゃんをこども図書館に連れて行こうと思うんだけど、大丈夫だよね?」 夕食時。 僕は隣に座る杏子ちゃんに、勝手に決めてしまった明日の予定について話をしていた。 現状、双子姉妹の保護者みたいなポジションに立つ杏子ち
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迷ってへたれて抱きしめて② #9

「じゃあ、あの、私、自分の部屋に戻るね」 その後、何となく部屋に流れる気まずい空気に耐えかねたのか、あの那都葉が自ら進んで僕の部屋から出ていった。 こんなことは僕の記憶にある限り初めての出来事だが、そのことを驚いたり喜んだりする心の余裕はす
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迷ってへたれて抱きしめて② #8

「――で、ところで那都葉、お前この部屋で何やってたんだ」 ため息も一息には変わりなく、文字通り一息ついた僕は、思い出して那都葉に尋ねた。 すると平然とした様子で、「何って……お兄ちゃんのスメルを堪能してたよ?」 そう返してきたのでチョップし
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迷ってへたれて抱きしめて② #7

階段を上がりきると、すぐ正面に僕の部屋はある。 僕は、万一琉未ちゃんが階段から落ちたりすることのないように、彼女を先に進ませ、後ろからついていく形で二階へと向かった。 琉未ちゃんは、ゆっくりと、でも一段一段確実に上がっていった。心配したよう
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迷ってへたれて抱きしめて② #6

「とりあえず、椅子から降りような。危ないから」 凪未ちゃんの目的が分かった僕は、ひとまず凪未ちゃんの両脇を持って少し持ち上げ、床へと降ろしてやった。なかなか重かったのだが、そこは男子のプライドで平静を装う。 それと同時に、脚の間から凪未ちゃ
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迷ってへたれて抱きしめて② #5

2「じゃあ母さん、ちょっと買い物に行ってくるわね」 他愛ない会話などをしながらお茶を飲み終え、家の中全体が少し落ち着いたムードに変わった頃、母さんが僕たちに告げた。「さすがに三人も増えると、夕飯の材料が足りなさそうだしね。――あ、ううん。別
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錯覚【同人用短編】

さて、まずはパソコンの話をしよう。皆、パソコンは使うよね。あるいは、他の電子機器でも良い。とにかく何らかのかたちで、毎日のようにデータのやりとりをしているはずだ。少なくとも、この国においては、それなしではもはや生きられなくなっている。 では
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迷ってへたれて抱きしめて② #4

那都葉が閉めたドアから視線を再びテーブルのほうへと戻すと、母さんが凪未ちゃんと琉未ちゃんにオレンジジュースを持ってきたところだった。凪未ちゃんは目の前に出されたオレンジジュースにすぐさま飛びつき、ストローで、ちうー、と美味しそうに飲んだ。 
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迷ってへたれて抱きしめて② #3

「雪氷ったら。急に来たと思ったら、用だけ済ませてさっさと行っちゃったわね。昔っから変わんないんだから、もう」 おばさんという嵐のような人が過ぎ去り、静かになった玄関で、母さんが呟いた。 呆れたような、それでいて、変わらぬ妹の姿を喜んでいるよ
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迷ってへたれて抱きしめて② #2

――昼。「ねぇお兄ちゃん、ゲームしよゲーム。私ね、良いゲーム買ってきたの」「マジか。何買ったんだ?」「『僕は妹に恋をする』っていう恋愛シミュレーション!」「……ソフトの選択に何らかの意図を感じるのと、一人用っぽいから却下。どうせなら二人でプ
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