【ざっくり書籍まとめ7】AI vs. 教科書が読めない子どもたち

これを読めば、ざっくり本を読んだ気持ちになれてしまうかも?

忙しい皆様こんばんは、ふぁいんと申します。

当ブログでお届けする「ざっくり書籍まとめ」では、私自身のアウトップットをかねて、読んだ本をざっくり、短く、要点だけ、お届けしています。

今回取り上げた本

書籍名:AI vs.教科書が読めない子どもたち = Artificial intelligence vs. Children who can’t read textbooks

著者:新井 紀子

出版:東洋経済新報社

出版年月日:2018.2

定価:1500円

ISBN:9784492762394

ざっくり書籍まとめ

この書籍で言われていること

「AIにできない仕事」ができる人間になるには、読解力が必要である

「AI」という存在が一般に認知され始めてから数年が経ちました。

当初はSF映画さながら、「AIが人類を超え、人類を脅かすときは来るのか」などと騒がれていましたが、それもだいぶ収まってきているような気がします。

ただ、改めて「AIってどんなもの? 何ができるの?」と聞かれたとき、皆さんは答えることができるでしょうか。

今回は、その質問に「ざっくり」答えられるよう、本の内容をまとめて見てみましょう。

1.所詮はコンピュータであり、コンピュータとは、計算機である

「AI」と言うと、何だかとてつもないもののように思えますが、現存するAIは全て、言ってしまえば計算機に過ぎません。

足し算、引き算、かけ算、割り算という、シンプルな四則演算を、爆速で行うことができる計算機です。

よって、当然ながらAIは、数学は得意です。人間よりも遙かに早いスピードで難解な計算を行うことができます。

それから、実は歴史も得意です。

歴史とは事実の集合であり、回答は変わりません。よって、「この問題が来たらこう!」という風にパターン化するのが容易なので、莫大なデータを収集し、それに基づいて回答することで正解することができます。歴史は「統計」という数学的な考え方で対応できる、というわけですね。

一方で、国語、英語は苦手です。計算機には、言葉の「意味」が分かりません。意味やニュアンスといったものを全て数式に置き換えることができれば、AIでも処理することができるのですが、現状、それは不可能です。数学的に意味を記述する方法がありません。

Siriなどが、あたかも言葉の意味を理解して会話をしているかのように振る舞っていますが、実はあれも、「この単語とこの単語とこの単語が入っている文章に対しては、この回答を返すのが良い」という統計的な処理によって、答えを返しているだけに過ぎないのです。

つまり、まとめると、AIにできることとできないことは、以下のようになります。

AIにできること :計算、莫大なデータの処理

AIにできないこと:文章読解

このことから言えるのは、今後、より広い範囲で活用されていくAIに勝つためには、「読解力」という、人間ならではの力で対抗するしかない、ということです。

2.読解力のある人間が少ない

本書では、全国2万5000人を対象として「読解力調査」を行いました。

結果の詳しい内容は省き、結論だけ書くと、以下となります。

・中学校を卒業する段階で、約3割が(内容理解を伴わない)表層的な読解もできない

・学力中位の高校でも、半数以上が内容理解を要する読解はできない

・進学率100%の進学校でも、内容理解を要する読解問題の正答率は50%強程度である

(p.228)

「3割ができない」ととるか、「7割ができる」ととるか。

「半数ができない」ととるか、「半数はできる」ととるか。

そこは難しいところですが、この現実は、「3割~5割の人間はAIに太刀打ちできない」ということを示していると言って良いでしょう。

3.未来の「人間の仕事」

技術が進歩することで、なくなる仕事もありますが、新しい仕事が生まれることもあります。

例えば、自動改札機が登場したことで、「切符を切る」という仕事はなくなりましたが、「自動改札機を整備する」という仕事が生まれました。

これと同じように、「AIが仕事を奪ったとしても、何か新しい仕事が生まれるから平気だよ」という考え方を持つ人もいます。それは、一部は正解でしょう。

AIが普及することで生まれる、新しい仕事も出てくるかもしれません。

でも、そこでふと、考えてみましょう。その仕事って、どんな仕事でしょうか。

本書では、それは「AIにできない仕事」だと言います。

当然の答えです。AIにできることはAIに任せておいたほうが良いに決まっているのですから、新たな仕事というのは、「AIではできない仕事」になってくるでしょう。

では、「AIにできない仕事」とはなんでしょうか。

……そうです。最初に書いた、AIが苦手としている分野の仕事、すなわち「読解力」を使う仕事です。

もう少し詳しく言うのであれば、読解力、人間としての常識、その場その場での柔軟な判断、新たな発想、などを必要とする仕事です。

さてそれでは……それって、「AIに仕事を奪われた人」にできる仕事でしょうか?

考えてみてください。そもそも「AIに仕事を奪われた人」は、

「AIにできる仕事」=「読解力不要の仕事」

をやっていた人なのではないでしょうか。そんな人たちに、「読解力が必要な仕事」ができますか?

……ぞっとした人は、これからの自分の行動について考えてみましょう。

残念ながら本書の中では、具体的な解決策については記載されていませんでした。読解力を向上させる明確な方法については、はっきりしたことは分からない、というのが現状のようです。

ただ、それを考え、工夫し、実践してみるという思考と試行こそ、これからの人間に必要な、人間ならではの力なのかもしれません。

+αな情報

・現存するAIは「人工知能」ではない

真の意味でのAI、すなわち人工知能とは、人間の脳と同等の処理ができるもののことですが、すでに書いたように、現状のAIは「計算機」でしかありません。データを蓄積し、その統計から答えを出すことはできても、考えて答えることはできないのです。

では、現状の「AI」とは何なのかというと、正確には「AI技術」です。AI技術とは、真の意味でのAIを実現するために開発された技術のことで、「音声認識技術」や「自然言語処理技術」、「画像処理技術」などのことです。

・AIは新しいものを生み出さない

現存のAI(AI技術)は計算機であるが故に、過去の情報を収集して答えにたどり着くことはできます。しかしそれはつまり、「過去、すでに誰かによって導き出されている既存の答え」のうち、正答率の高いものを答えているだけということです。

よって、AI(AI技術)には、新しいものを生み出すことができません。その分野もまた、現状、「人間だけができること」です。

そこに勝機を見いだす手もありますね。

ふぁいんさんの感想

この本は過去に買って、途中まで読んでいた本だったのですが、そのままになっていたので、今回きちんとまとめてみました。

皆様がどのような印象を受けたかは分かりませんが、私の感想は、「良かった」でした。

なぜなら私は昔から、国語だけはめちゃくちゃ得意だったからです。読んで答える、文脈から察するといったことは得意分野であり、大学受験時、現代文の偏差値だけは70を超えていたので、「あ、私はAIに勝てそう」と思ったのが正直なところです。

また、同時に納得もしました。普段、仕事をする中で、読解力や発想力が足りない人が多いなあ、というのも感じていたからです。

・結構しっかり説明したのに見当違いのことをされる

・過去に実績のある作業について、資料を渡した上で依頼をしても、資料を読み取って同じ作業ができない

などなど、色々と苦心することがあります。もちろん、人によって能力に差があるのは当然なので、できないことが分かって以降は仕事の振り方も工夫をするのですが、心情的には、そんな労力を使わずに済むならそれがいいなあと思っています。

言ってしまえば、「雑に振っても、きちんと意図通りに仕事をしてくれる人」は存在します。そういう人間が、すなわち、読解力のある人間であり、柔軟な判断が下せる人間であり、新たな発想を生み出せる人なのでしょう。現代は情報過多な時代であるため、調べれば答えが分かるからこそ、思考停止してしまう人間が増えているのかもしれません。私自身、すっかりそこに依存している節はありますので、考える力を失わないように注意していきたいと思います。

おわりに

ということでざっくりと本の内容をお伝えさせていただきました。

最後に、注意というか予防線というかをひとつ。

今回ご紹介した本の内容は、この書籍に記載されている情報のすべてではありません。

あくまでもこの記事で書いた内容は、「ふぁいんさんが個人的に大事だと思った内容のピックアップ」であり、私の主観も一部混ざっていますので、参考までにご活用いただければと思います。

それでは。

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