【ざっくり書籍まとめ10】父が娘に語る経済の話。

これを読めば、ざっくり本を読んだ気持ちになれてしまうかも?

忙しい皆様こんばんは、ふぁいんと申します。

当ブログでお届けする「ざっくり書籍まとめ」では、私自身のアウトップットをかねて、読んだ本をざっくり、短く、要点だけ、お届けしています。

今回取り上げた本

書籍名:父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

著者:ヤニス・バルファキス 著/関美和 訳

出版:ダイヤモンド社

出版年月日:2019.3

定価:1500円

ISBN:978-4-478-10551-1

ざっくり書籍まとめ

この書籍で言われていること

お金も価値も、人がそれを信じるかどうかで変わってくる

あなたは経済のことをどれくらい分かっているでしょうか。

本書では、タイトルのとおり、まるで父が娘に語るように、難しい経済の用語はなるべく使わず、それでいて丁寧に、「経済とは何か」を説明してくれています。

今回はそんな説明の中から、次の3つについてピックアップし、まとめてみました。

そもそも経済って何?

人間が原始的な暮らしをしていた古代には、経済というものは存在しませんでした。そこにあったのは、「ものとものを交換する」という文化だけ。例えば、バナナとリンゴを交換するような、そんな行為だけでした。

この「交換する行為」、「交換する場所」は「市場」と呼ばれ、今も存在します。スーパーに行ってカゴいっぱいの商品をお金と交換するのも「市場」での取引と言えるし、インターネットという仮想的な場所で、商品をお金と交換するのもまた、「市場」での取引と言えます。ただ、これだけでは、市場取引ではあっても、本物の経済とは呼べませんでした。

では、経済とはなんなのか。

それは、何らかの技術によって「余剰」を生み出し、それを価値あるもの=商品として販売することで、利益を得る行為です。

大昔、人は自然の恵みに頼って生きていました。森で採れる果実を食べ、山や川で動物や魚をとって糧とする。それで十分生きていける内は問題なかったのですが、人口の増加や自然災害などで、得られる自然の恵みが十分でなくなったとき、苦しみの果てに見つけ出したのが「農耕」などといった、恵みに頼る以外で生き残るための「技術」でした。

やがてそれが進歩してくると、必要な分以上の作物が手に入るようになってきたわけですが、これこそが「余剰」です。人々はこれを管理するために、「文字」というものを発明しました。

人々は協力して、倉庫に「余剰」を集め、「文字」によって管理をします。Aさんが穀物を10キロ倉庫に預けたとき、倉庫の管理人はAさんに、「穀物10キロと交換できる券」を渡しました。券といっても、それは数を書いた貝殻であったかもしれませんし、粘土であったかもしれません。ただ、確実だったのは、「その券があれば、穀物10キロが手に入る」ということ。そしてそれを、同じ集団に住む全員が、共通の認識として信じていたということです。

すると面白いことに、その券が穀物10キロと同じ価値を持つようになりました。わざわざ穀物を渡さなくても、その券を渡せば、魚や、野菜や、果物がもらえました。これこそが、「お金」の始まり、そして、経済活動の始まりでした。

労働力と賃金

そうした始まりから、徐々に発展してきた現代、世の中のあらゆるものには経済的な価値が見いだされるようになりました。物であれば、それがどれだけのお金と交換できるかという「交換価値」が数値化されますし、旅行などといったものであれば、どれだけの経験を得られるかという「経験価値」が、これも金額という形で見える化されます。

そして、「人が働くこと」もまた、価値が見いだされることになりました。労働者は経営者によって、「雇ったことで得られる利益」と、「雇ったことで支払わなければいけないリスク」を天秤にかけられます。そうして、前者が後者を上回ったときに、労働者は雇用され、賃金を得ることができるようになるというわけです。

ただ、実はここに、他の商品とは違う、「労働力」ならではの難しい問題が発生します。それは、「労働力は安ければ安いほど良いというわけではない」ということです。そこには、「経済の循環」という視点が関わってきます。

経済の循環とはすなわち、

物を生産する⇒お金を得る⇒得たお金で物を買う⇒買ってもらった利益で物を生産する

という循環です。

つまり、物を生産する「労働者」は一方で、「顧客」でもあるということです。労働者は、労働して得たお金を使って商品を購入します。つまり、労働者に支払う賃金が安ければ、労働者は商品を購入する力を失うということです。そして商品が売れなければ、経営者は利益を得られないので、労働者を雇っている場合ではなくなります。前述した「雇ったことで支払わなければならないリスク」が大きくなってしまう、というわけです。

少し複雑なので、本書内で挙げられていた例をざっくり要約して解説します。

経営者のBさんは、冷蔵庫を製造、販売しています。そんなBさんが、

「労働組合は、雇用促進のため賃金の2割カットを受け入れると宣言」

というニュースを目にしました。これを見たBさんには、2つの考えが浮かびます。

ひとつは、「労働者の賃金を、今までよりも2割カットして良いなら、もっと人を雇えるかもしれない」ということ。

そしてもうひとつは、「労働者の賃金を2割もカットしてしまったら、今よりも冷蔵庫が売れなくなるかもしれない。新たに人を雇っている場合ではない」ということです。

これが、労働力の難しい問題です。2割カットによる明るい未来を信じるか、暗い未来を信じるかによって、労働者が雇用されるか否か、その結末が変わるのです。

機械化とコスト

同様に、機械化についても難しい問題が発生します。

現代では、様々なところに機械が導入され、人間がつくるよりも遙かに早く、商品を生産することができるようになりました。しかしそれは、良いことばかりではありませんでした。

機械が人の仕事を奪っていったからです。産業革命時には、多くの仕事が機械に取って代わられました。

しかし一方で、機械も万能ではありませんでした。機械化によって低コストで大量の商品が生産できるようになると、最初は良かったのですが、徐々に問題が出てきました。

それは、他の同業他社も同じように機械を導入し、低コストで大量の商品を生産できるようになってしまったということです。また、同時に、職を失った人々が購買力をなくしたことにより、高い商品は売れなくなりました。これにより、自然と価格競争が発生し、商品の値段は徐々に下がっていきました。

するとどうでしょう。機械を導入した経営者は、思っていたよりも利益が出せないことに気づき始めます。そしてあるとき、機械を捨てて人間を雇用し始めることになるのです。

それはなぜか。

最新の機械を導入するコストよりも、市場に余った労働者を雇ったほうが、安上がりで済むことに気づくからです。そうして、労働者のコストが機械のコストを超えてしまうその日まで、労働者を雇用し続けることになります。

つまり、大量の人間が職を失う経済危機は、同時に回復の前兆であり、経済回復は、同時に危機の前兆なのです。これをどうにかするためには、便利な機械を共同利用し、誰もが利益を得られるような社会へと進む「大転換」が必要かもしれません。

+αな情報

借金とは何か

銀行があなたにお金を貸すとき、銀行は、「あなたがこのお金で得るだろう未来の利益」を見越してお金を貸してくれます。つまり、借金とは、あなた自身の未来からお金を借りる行為であり、この未来が、何らかの原因で想定通りにいかなかったとき、あなたはそれを返済できないという状況になるのです。

不況とは何か

不況とは、誰しもが借金を抱え、そして誰しもがそれを返せない状況に陥ることです。このときに動いてくれるのが国の中央銀行であり、中央銀行は、各銀行、そして各銀行から借金している利用者が、正常に借金を返済できるようになるまで、サポートをします。このときに着目すべきは、普通の銀行が「利用者からの利息を得て儲ける」ことを目的とするのに対し、中央銀行は、「お金の循環を元に戻し、経済を回復させる」ことを目的としているということです。

ふぁいんさんの感想

本書自体は本当に分かりやすく経済について書かれているのですが、テーマがテーマだけに、どうやってざっくりとまとめていいのか迷った書籍ではありました。元々、例をまじえながらざっくりと経済について語った本でもありますので、それをさらにピックアップして要約するのが難しかったという部分もあります。

実は、今回書いた内容にはまだ続きがあるのですが、書いた部分だけでも多くの学びがあり、落としどころとしてはちょうど良い気がしたので、今回はここまでという形にしています。経済という人の営みを大まかに捉えるには非常にちょうど良い本でした。本当に読みやすい本なので、もし良ければ皆さんも手に取って読んでみてください。

おわりに

ということでざっくりと本の内容をお伝えさせていただきました。
最後に、注意というか予防線というかをひとつ。
今回ご紹介した本の内容は、この書籍に記載されている情報のすべてではありません。
あくまでもこの記事で書いた内容は、「ふぁいんさんが個人的に大事だと思った内容のピックアップ」であり、私の主観も一部混ざっていますので、参考までにご活用いただければと思います。
それでは。

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