この記事タイトルからして「涼宮ハ○ヒ」感ある。
皆様こんばんは。
今回は、先日、音声投稿サイト「HEAR;」にて公開されたボイスドラマ『StAY wiTH GEMInOs!!~とある双子とある風景』について、紹介と、私の思いを率直に語ろうと思います。
概要
今回のボイスドラマは、百舌鳥さんが手がけるモノ作りプロジェクト「天上楼閣」における作品第一弾として作成された音声作品です。
わたくしこと柚坂明都は、ドラマの原作担当として招集されました。提供した原作については後日公開予定ですが、まだお聴きになっていない方は、まず、チェックしてみてください。
主要キャストは以下のとおり。
俺…香月
姉…ハルノ
妹…ゆで太 たまご
今回のプロジェクトにおけるキャストは、公募ではなくこちらから指名させていただきました。
それゆえ、キャラクターのイメージはぴったり!
主人公たる「俺」を演じてくださった香月さんは、照れと優しさとあどけなさの残る男子学生をしっかりと演じてくださいました。耳心地良い中音域のボイスはまさに主人公。良い意味で尖りのない声質は、声質だけでキャラクターの属性を左右してしまうことがないので、リスナーの身代わり、ある意味での中立である主人公に相応しいと思っています。もし次があるとして、日常系であれば、また香月さんにお願いしたいと思っているくらいです。
「姉」を演じてくださったハルノさんは、口数の少ない姉を丁寧に演じてくださった印象があります。一言が短いので、その分表現が難しいのですが、台詞の端々に、的確にニュアンスをのせてくださっています。
裏話をひとつすると、私とハルノさんはこのプロジェクトが初接点のようなものだったため、完全に総合演出である百舌鳥さんによるキャスティングなのですが、それは成功だったと言えるでしょう。我々が望む「無口眼鏡で文学少女」を、望んだとおりに供給してくださいました。
そして妹を演じてくださったゆで太 たまごさん。年下かもしれないのに勝手に「たまご姉さん」と私は呼んでいますが、そんな姉さんにあえて「妹」を任せたのは英断でした。私がかつて書いていたラブコメもどき、『迷ってへたれて抱きしめて』を読んだことがあるレアな読者さんがいれば、私の好みが最も反映されているのがこの「妹」だったことに気づいたでしょうか。
結局この歳になっても、天真爛漫かつ小悪魔じみている「妹」を描いてしまう己の性癖には驚嘆するばかりですが、そんな妹をかわいく演じてくださいました。ありがとう、そしてありがとう。中学生だったらガチ恋していたと思います。
そして特筆すべきは、それらをまとめ上げ、聴覚情報のみで日常を描ききった百舌鳥さんの演出でしょう。お聴きになった皆様は体感済みだと思いますが、あれ、全てフリー素材とスマホの編集でできています。私にはできない技能なので、ぜひ、何度も聴いて体験していただければと思います。
裏話
実はこのボイスドラマ、私自身、まさかこうなるとは1ミリも考えておりませんでした。
このお話をいただいたとき、私が百舌鳥さんからどういう風に伺ったのかをざっくりとまとめますと、
本番を作り始める前に、どういう風に進めるかテストしたい。
テスト用に、以下のテーマでシナリオを書けないか。
- 双子姉妹
- 現代世界
- ラブコメ
- 2000年代風
と、いう感じでした。
……そう、何を隠そうこのお話、完全なる「テスト用台本」だったのです。
そんなのにキャスティングしてしまった皆様につきましては大変申し訳なく思うのですが、だからこそ、この完成度に一番驚いたのは私でした。本当にこれに関しては皆様のおかげでしかないと考えています。
そして、だからこそ私は、私だけには、この作品が「失敗」に見えるのです。
失敗
私は自画自賛する男なので今回も自賛しますが、上記の条件通りのシナリオを提供できたかできないかで言えば、提供できたと考えています。そこは私なので、問題なく提供できたでしょう。2000年代の香りがする現代のラブコメで双子姉妹も登場しています。
ただし、それはあくまで、「テスト用」という前提のもと、条件だけ見れば、の話。皆様が全力を注ぎ込んだ結果、プロジェクト第一弾にまで昇華されてしまった今となっては、「テスト用」のこの脚本は場違いでしかありません。書いた本人はそう思っています。
これを書くとき、私は思いました。「なるほどテスト用ね」と。
そして思いました。「なるほど2000年代ラブコメね」と。
そして至った結論は、
「じゃあハ○ヒだな」です。
いや、これはもう言い訳なしにそう思って書きました。とはいえご理解いただけると思いますが、あくまでテイストをオマージュさせていただいただけで、決してパクリでも盗作でもありません。単に、「2000年代ラブコメ」と聞いて大部分の人間が連想しやすい作品が「ハ○ヒ」だったので、それっぽい感じにした、というお話です。
ということで私は、ただただハ○ヒっぽいシナリオを書きました。無論そこには、私なりの要素を込めてはいます。前述したように、キャラクターには好みも反映されていますし、若干ですが、「多様性(ダイバーシティ)を大切にしよう」というメッセージも込めました。しかしながら、ほぼハ○ヒです。ハ○ヒに乗っかって書きました。
結果として私はこのシナリオに大した労力をかけた実感がありません。「ハ○ヒフォーマット」とでも言うべき流れに乗っかり、何も考えず勢いだけで、多分2時間か、もしかするともっと短い時間でさらっと書きました。
まさかテストではなくなると思わずに。
いや、実際にはテスト的な側面もあったでしょう。今回のことで、おそらく本プロジェクトの主幹である百舌鳥さんは、色々と感じ、次回以降に活かそうと思ったことがあったはずです。ただ、対外的には、これが出るまで、そうは思われていなかったことでしょう。
それは、キャストの皆様が全力で良いものをつくってくれたおかげです。百舌鳥さんが、忙しい中、死力を尽くしてくれたおかげです。
全員が力を出し切り、良かったね、と言い合う中で、私だけが、余力を大部分残したまま、「だってテストだと思ったから……」と取り残されているのです。
これが私にとって失敗でなくてなんだと言うのでしょうか。
私は間違えました。「テスト」は別に「全力を出さなくて良い」というわけではありませんでした。テストだからこんなもんで良いだろ、としてしまった私のスタンスが誤っていました。テストだからと勝手に力を抜いたのは、誰でもなく私です。
はっきり言って、『StAY wiTH GEMInOs!!~とある双子とある風景』に「柚坂明都」はいません。
これは百舌鳥さんの作品であり、香月さんの作品であり、ハルノさんの作品であり、ゆで太 たまごさんの作品です。その目線で見れば、できる限りの力を尽くした素晴らしい作品です。この脚本から引き出せる最大限を、皆様の力で引き出していただきました。
私はもっと「柚坂明都」の名に責任を持たなければなりません。このプロジェクトで、それを学ばせていただきました。
もうこんな想いはしたくない。
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