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ボウネンカイ

BGM:ムーディーな音楽   SE:ドアベル店主「いらっしゃいませ」ルシアン「(久しぶりの再会で少し照れたように)や、やあ、ウォルター」店主「おや、これはまたずいぶんと懐かしい顔だ。久しいね、ルシアン」ルシアン「はは、そうだね。本当に久しぶ
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一歩

気がつくと私は、金色こんじきに輝く大きい扉の前に居た。 不思議と直前の記憶が曖昧で、本当に突然、この場所に立たされたような感覚があった。己の理解を超えた現状に一瞬呆けてしまうが、じわじわと周囲の情報を認知していくにしたがって、それは混乱の波
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ガラスの靴の持ち主

その日、城内はざわめき立った。 いわく、この国の第一王子が運命の相手を見つけたらしい。 出会いの場は、昨晩開かれた舞踏会。ひときわ目を引く女を王子が見つけ、ダンスを申し込んだそうだ。女は、あまりダンスに慣れていない様子だったが、それすらも王
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ヴィレンダ

◆登場人物(2名)ゼリファ(Zelipha):崩壊寸前の母星をひとり脱出してきたメカニックの少女ヴィレンダ(Vyrenda):宇宙船に搭載されている支援型人工知能ゼリファ「(寝息)」   SE 布のこすれる音ゼリファ「(言葉にならない寝言)
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りゅうぐうの管理人

SE 自転車で坂道を下る男「はあ……はあ……あと何分だ? ……七分か、ギリだな。くっそ完全に寝坊した! なんで俺は昼寝なんかしちまったんだ!」SE 自転車で坂道を下る男「確か今日、店長シフト入ってたよな? あの人、時間には厳しいからなんて言
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はじまりのギター

「うーん……」 親友の様子がおかしい。 私はケータイに届いたメールの一覧を見つめながら唸っていた。「一、二、三……」 カチ、カチと下ボタンを押しながら数を数えていく。五、六、七……八回か。夏休み期間中、遊びに誘っては断られた回数が、いつの間
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夜空のステラマジカ

◆シーン1:小学校の教室 「兄弟喧嘩」SE 学校のチャイムSE 下校の音楽SE 帰宅する生徒たちのざわめき弟「……嘘? 嘘ってどういうこと? にーちゃん」兄「だから言ってんだろ、あったまわるいなあ。願いが叶うお祭りなんて嘘なんだって」弟「で
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カメリア・シネンシス・シンドローム

ある日、俺の肌は緑色になった。「え、なんで?」 それは日曜の朝のこと。眠気を吹き飛ばすためにシャワーを浴びて、洗濯機を回しながら、ボーッとスマホで漫画を読んでいるときのことだった。 己の腕が、うっすら緑がかっていることに気付いた。「えぇ……
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希望

どんよりとした空を、男はじっと眺めている。 朝から降り続いている雨は未だやむ気配がなく、どうしようもなく不快感を煽る重くてぬるい空気が、蛇のように男の体へとまとわりついた。ツー……っと、額から頬を伝う雫は、汗か雨水か。どちらとも構わないとば
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お誘い

「あ、もしもし?」『もしもし? 直子なおこ?』「もしもし美貴みき? 聞こえてる?」『聞こえてる聞こえてる。えーマジ久しぶりじゃん直子! どしたの急に』「突然ごめん。実はさ、今度仕事でそっちに行くことになりそうなのよ」『え、仕事? うっそー、
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