朗読シナリオ

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矛盾

町人 「騎士様、この店でございます」衛兵 「ここか、詐欺を働いていると噂の武器屋は」町人 「その通りでございます。曰く、『どんなものでも貫く矛』と、『何ものにも貫けない盾』を売っていると宣伝しておりまして」衛兵 「ほう。まさに故事にある『矛
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面接

面接官 「では、次のグループの方々、どうぞ」(他3人、ぞろぞろと入ってくる感じで思い思いに)盗賊 「ようやく俺の番かぁ」騎士 「失礼する」魔王 「ふん、矮小な部屋よ……」面接官 「それではただ今より、職業変更のための面接を始めさせていただき
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しゅーまつ

ユウマ 「うおっ、風つよ!」イツキ 「今日は一段と風つよいねー」ヒマリ 「きゃっ! 目に砂入ったぁ! サイアク! 何で毎日屋上に来なきゃなんないのよ」イツキ 「僕は良いと思うよ。ずっと室内にいるのも体に良くないじゃない」ユウマ 「そうだぞ。
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接続

目が覚めてスマホを見ると、すでに昼過ぎだった。 勿体ないと思う人もいるだろう。でも、どうせ早く起きたって、私がやることなんて知れている。何となくだらだら動画を見て、お腹が空いたらご飯を食べ、眠くなったら寝る。それだけだ。それらの時間を価値に
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校外学習に向けて

「はぁ……はぁ……」 私は今、ジャージ姿で山を登っている。 頭には白いヘルメットを被り、その上からヘッドライトを装着。さながら冒険家になった気分でいたのだが、気の持ちようだけで急に体力が増えるはずもなく。ひいひい言いながらの登山になってしま
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あの頃屋上に俺達はいた

紺のロングスカートと黒い髪をなびかせながら、茜が何かを呟いた。 俺が視線を向けたときには、腰に手を当て、仁王立ちで空を眺めるいつもの姿しか見えなかった。 ただ、そのときのあいつの目が、なんだかいつもと違った気がして。 ――それ以来、俺はあい
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あ、ちょっとそこのあなた。あなたですよ、あなた。 画面の前で缶ビール片手に動画視聴しているそこのあなたです。 よろしければ少しの間、私にお付き合いください。これから三つ、質問をいたしますので、回答を思い浮かべていただければ結構です。すぐ済み
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命の水溜まり

まあそうだろうな、と思っていた。 仕事が、急用が、体調が、なんて、不運に不運が重なって、デートが毎回キャンセルになって。……そんな偶然あるわけないと、どこかで分かっていた。 段々短くなる謝罪文に、明るく返す私。見え隠れする本心に気づかないふ
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ボスからの指令

すれ違いざま、ジャケットの右ポケットに何かが滑り込む感覚があった。俺は何事もなかったように歩き続け、そのまま男子トイレへと姿を消す。 個室に入り、ポケットを漁れば、葉書はがきサイズの白い封筒がそこにあった。蝋ろうの紋様も、間違いない。ボスか
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変な

――変な先輩がいるのだな、と漠然と思った。 二十人に満たない部署の中で、その人はその瞬間、存在していないかのように、誰からも声をかけられていなかった。 まさかいじめ? 雰囲気が良さそうな職場に就職できたと思ったのに。 嫌な気分を感じて、いざ
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